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【優秀賞】最優秀賞 木のおさんぽみち

制作者
北海道大学大学院
芳川美優花(工学院建築都市空間デザイン専攻)

現状_築90年の木造住宅
 北海道小樽市石山町
 海と山に囲まれた自然豊かな場所。
 海や周辺の山への眺めも良く、昼にかけて
 海から西向きの海風、夜にかけて陸から東向きの
 陸風がふく。
 冬は、多くの雪がつもるため、坂の上にあるこの
 住宅は外出が困難になる。

 祖母が小さい頃から住んでおり、7人家族で使っていた。
 去年祖父が他界し、祖母が一人で暮らしている。
 一人で使うには、広すぎて
 使わない部屋は木が傷んできている。
 寒冷地向けにつくられた住宅ではないため、
 冬は寒く、雪荷重や地震に耐えられるように
 補強が必要である。

 祖母の人間性
 琴/書道/ピアノ/料理/編み物
 友達とおしゃべり/たくさんの孫たちがいる

01_おさんぽみち
 「おさんぽみち」として住宅全体に広がる長い回廊を設け、
 冬の外出が難しい時期にも家中を歩き回り、各方角の景色を
 楽しむと同時に、家の通気を行い、木が傷むのを防ぐ。

02_構造補強
 「おさんぽみち」の周囲の柱を新しい柱と梁で連結し、既
 存の120角の柱以外の強度を持つように補強する。
 それらの構造材は、補強材であると同時に、祖母が趣味を
 行ったり、収納スペースとして用いることができる。
 また、冬はポリカーボネイトなどで覆うと、断熱のないこの
 住宅の空気層として内部の断熱環境に寄与する。

03_1本の木をまるごと
 木は生きている。使用するのは道産材の「カラマツ」。地産
 地消を行うことでローコストを実現できる。「カラマツ」は、
 変形が大きいため、建材として用いることは少ないが、用いる
 際は、十分に乾燥させてから用いる。1本の木を余すことなく
 使った家をつくることで、コミを出さず、また加工や保管の手
 間を省くことができる。これによって木材の生産のサイクルを
 よりスムーズにまわすことができる。

Scene01_ブドウ畑
 もともとあるブドウは放置され、石垣に垂れ下がっている状態
 で、収穫することができずにいる。
 そこで60角のブレースを入れることで、北側部分の補強としな
 がら、ブドウを巻きつける材として活躍する。
 ここは北側の天空光を、半外部空間を通して感じる場所となって
 いる。

Scene02_居間
 素敵な食器をたくさん持っている祖母。
 収納スペースのないこの家では、食器は、食器棚の中にしまわれ、
 表に出ることは少ない。
 そこで、広い食卓・今の要らなくなった現在、食器を魅せるスペ
 ース、お茶を飲んで一休みするスペースを構造体としてつくること
 で、収納スペースに困っている祖母を助けながら、お客さんにも喜
 ばれる場所とした。

Scene03_衣装室
 衣服はあるのに見当たらず、すぐに新しい服を買ってしまう祖母。
 天井が高いことを生かして、60角の梁を2層の洋服がけとして使い、
 また、750×120の断面の床材を梁として補強に使うことで南北方向、
 東西方向の補強をしている。

Scene04_縁側
 琴や習字、編み物など祖母が趣味を思い立ったらすぐにできるような
 場所をつくった。また西側は人目につかない場所であるため、高い梁
 には、洗濯物を干したりぶら下がり運動などに使う。
 背もたれや楽譜おきは60角、人の体重ののる場所は120角の材を用い、
 補強梁とした。

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