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【特別賞】林野庁長官賞 二階に居間のある家

制作者
三重大学
鷲尾佳吾(工学部建築学科)

何気なく通る道のそばに建つ伝統的構法の家。
会社への通勤、踏切の待ち時間、大学への通学といった、
普段通る道のそばに木の良さを伝え、木材に興味・関心の持てる
住宅を提案する。

1.背景
 従来は、伝統的構法を用いた詳細な構造計算法が確立されていなかったが、
 近年、伝統的木造建築物の限界体力計算に関するマニュアルが発行され、
 今後は古民家のような伝統的な住宅の設計がより容易になると考えられる。
 また、伝統的構法は、木材の使用量が多く、古くから伝承された技術の継承
 や林業の活性化につながると考えられる。

2.住民・利用方法
 家族構成
 父:会社員(35歳) 母(32歳) 長男(3歳) 長女(1歳) 
 伝統的構法による木組みや石場建ての基礎は、外部からもよく見えるように
 計画されている。近くを通る人々が木の良さを身近に感じ、興味を持てるよ
 うにすることで、木材の利用促進にも寄与する。

3.計画敷地
 近鉄江戸橋駅から徒歩5分の場所にある。踏切や車の通勤ルート、大学への
 通学路として、人々の往来が盛んな場所である。
 伝統的構法を普及させていくには、木の良さを知ってもらうことが重要である。
 何気なく生活している中に見える風景に興味を持ってもらうことで、行きかう
 人々の記憶に残り、枝分かれする樹木のように普及することを意図している。

4.間取りの可変性
 子供が成長し、個室が必要になったことを考え、間仕切り壁を増築できるよう
 にした。さらにこの間仕切り壁は、土壁でつくることを計画されており、家族
 全員で製作し、伝統的構法の素晴らしさを身近に共有しながら、成長することを
 意図している。将来、住宅を建築する際に、採用したり、身近な人にも自身の
 経験を伝えることができ、伝統的構法の良さを広めることができると考えられる。

5.構造計画
 伝統的構法の大きな特徴は、「木組み」「土壁」「石場建て」である。
 中でも土壁は、地震時に変形する力を吸収する働きがある。しかし、一般的な
 住宅では、居間や食事室等の大空間を1階に配置しており、壁量が少なくなってしまう。
 そこで、今回の提案では、2階部分に大空間を設け、1階部分に個室等の壁量の多い
 部屋を配置し、変形が少なくなるように工夫した。

6.断面計画
 伝統的構法を身近に感じられるように、二階の妻側上部をガラスにし、居間上部の内部
 木組み部分を外からでも見られるようにした。また、南側に大きな庇や可動式格子戸を
 設けることで、道からの視線に配慮した。さらに、夏季には深い庇が日射を遮蔽し、
 冬季には、室の中まで光が届くようにすることで、環境負荷の小さな住宅となるように
 計画した。
 北側樹木 
 ・常緑樹を配置
 ・太陽光の反射を利用  →  北側の部屋が明るくなる
 南側樹木
 ・落葉樹を配置
 ・樹木により日射を調節
 勾配の異なる屋根
 南側は緩い勾配にし、道路側からの圧迫感をなくす
 北側は勾配を急にし、冬場の日射が植栽に当たりやすくする

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