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【特別賞】佐賀県知事賞 貫継ぎ住み継ぐ家

制作者
千葉工業大学大学院
加藤翼(工学研究科建築都市環境学専攻)

introduction-導入-
敷地は、佐賀県佐賀市の佐賀駅郊外の田園地帯の入り口の平坦な土地である。
駅周辺の開発された土地と「天山」方面の緑地とのほぼ中間地点に位置しており、
交通もほど良い土地である。
本設計では伝統構法を用いた木造の戸建て住宅を提案する。敷地周辺には空き家も
見られ、現状としては「住み継ぎ世代を繋げていない」様に考えられる。
本提案では世代を繋ぎ、材を繋ぎ、建築を維持し木材生産者とのサイクルを維持できる
サステナブルな家を提案する。
また、佐賀県の県木であるクスノキを敷地に植え、家が一つのサイクルを迎えた時に
伐採してその家の家具として利用することで常にクスノキを重んじることのできる家を
提案する。

解体・組立てしやすい伝統構法
日本の伝統的な木造建築の特徴は、解体したり組み立てたりしやすいことである。
伝統構法の軸部の接合部は、釘などの金物に頼らず、継手仕口という手法を用いている。
このようにして組み立てられた軸組は、楔を外していけば、各部材を傷つけることなく
ばらばらに解体することができる。解体された部材は建て替える際に建物の一部に使ったり、
別の場所で組み立て直すことも可能である。蟻害や腐朽がある場合も、傷んだ箇所に代わりに、
新しい木材を部分的に継ぎつなぐ技術で容易に直すことができます。つまり、リサイクルに徹した、
サステナブルな技術と言える。
このような接合の技術によって、伝統的な木造建築は修理や補修がなされてきました。
技術は大工の棟梁から弟子へ受け継がれてきましたが、技術は途絶えてしまっている。
有効的にこれから先の未来でも使っていける古材がゴミとして処理されてしまうことを防ぎ、
木材生産者とユーザーの良好な関係性の維持を図る。

Method-方法 -
本設計で取り入れている伝統構法には、材の交換が容易であることで、
伝統構法では構造面で耐久が劣ると見られていた部材は、「根継木」することで補い維持してきた。
しかし、現在ではそこに設備等が入ることで現代にはその技術が使われ難くなっている。
そのため昔ながらの木造の伝統構法に現代の時代とその先の未来に合わせて、家自体が時代に合わせて
多様化し進化し続けることで構造面、耐久面、時代の流れに適応した家を考える。
その進化とは、300㎡の敷地に対し、建築する部分を端に寄せ、尺貫法に基づいたグリット体系と
中央の1365mm幅の廊下を軸に、その時代や家族に合うように少しずつ解体増築し、道路面に沿うように
スライドすることで、家自体が過去を脱皮し、常にその時代を構造面・耐久面に合った将来の「伝統構法」
と呼ばれるような家を目指す。

■適応サイクル〜貫継ぎ材再利用循環
 ①〜④のサイクルでは移築、解体しやすい伝統構法の性質を生かして、それを時代に合わせて適用
 することで「新たな伝統構法」と呼ばれるような建築増改築サイクルになる。またその時代に使われる
 部材はなるべく過去のサイクルで使われてきた部材を「古材」として迎え入れ再利用することで過去の
 記憶を繋ぐことも考える。

 ①現在
  ①ではまず、本設計の戸建て住宅を建築するとともに、1365mm幅の廊下を敷地に対して平行に伸ばし、
  本サイクルの「軸」とし、尺貫法のグリットにのせる。

 ②30年後
  ①で適用した「軸」に対して老朽化や時代に合わなくなっった部分を減築し、新たにそのニーズに合うように
  増築することで家を脱皮させる。

 ③60年後
  ②までに行った増減築を行い、更に家の適正化を進める。

 ④90〜100年後
  ③までのサイクルが一周し、当初の「軸」とグリットを残し、技術、構法が継がれた新たな時代を迎える。

 

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