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【後援団体賞】瓦屋根優秀賞 つながるスキマ

制作者
工学院大学大学院 
福井 献一(建築学専攻)

広島県:スギ・ヒノキの生産量増加
 広島県は県土面積の85万haのうち61万haの72%が森林であり、
 県内のスギやヒノキ人工林の多くは伐採適期に達しつつある。
 またスギ・ヒノキ素材生産量は年々増加傾向にあり、
 この増加傾向に応じた需要の確保が近年求められている。

広島県竹原市:格子の美しい町家
 竹原市は広島県中央南部に位置し、瀬戸内海に面した町である。
 中心街は江戸時代の町並みが残っており、美しい格子が魅力的で、
 町並み保存地区に指定されている。
 この格子をはじめ、竹原市の町家はスギ・ヒノキによって保存され
 続けているため、需要の確保になり得る。

大雨による浸水被害
 平成30年7月豪雨災害の際に多くの住宅が浸水被害を浴びた。
 記憶に新しいこの出来事。雨、水に対してマイナスなイメージを持って
 しまっているからこそ、この地域に水と共生する建築を提案する。

竹原の町家が木材の需要に応え、世代そして地域を繋ぐ
 町家・格子がつくりだす緩やかな境界
 竹原市の町家ならではの曖昧な境界に加え、視線が抜ける格子。
 2世帯家族の距離を曖昧に繋ぐ。

 家族構成
 父 :会社員
 母 :パート
 息子:小学生
 祖父・祖母:退職して地域の人とこの建築で井戸端会議を行うのが日課

 水害対策の地域コミュニティ形成
 災害時に大事になってくる地域のコミュニティ、普段からこの建築は
 地域の溜まり場となる。土間を介して住民はリビングというセミプライベート
 から地域と関わり、2階の居室からはその様子が伺える。いたるところに
 散らばった格子が人々を引き込み、つながりを生み出す。

水害に怯えず、水と共生する建築
 レベル差により避ける浸水被害
 浸水被害において水害を完全に防ぎ切ることは難しい。建築のレベルを操作する
 ことにより、段階的に被害を最小限に抑えるため、水路から土間、1階へとレベル
 をあげ、各居室は2階に設けることで、最悪の自体にも対応する。

 水との共生
 多くの災害が猛威を振るう現代、しかし本来、自然とは怖いものではなく、
 私たちの生活に寄り添い変化を与えてくれるもの。水害を経験した地域にこそ、
 子供たちが水を怖がらず、親身に感じるような川が流れる建築を提案する。
 雨ばしらから入る雨を格子のスキマから覗き見る。それが川となり、庭に
 流れ出る。

 細い材が見せる建築の安心感・そのスキマから生まれるつながり
 竹原市の町家建築の特徴である格子や虫籠窓。細い材を見せることで建築を明らかにし、
 安心感が生まれる。伝統建築のエレメントを日常に触れる仕掛けとして、小屋組や一部
 根太を見せる工夫を凝らしている。細い線のスキマから視線が抜け、生活が見え、家族が
 つながり、人がつながる。    

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