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瓦屋根優秀賞 縁の下が見える家

制作者
工学院大学大学院
小川直人(工学研究科建築学専攻)
中村祐耶(工学研究科建築学専攻)
工学院大学
廣川大樹(建築学部建築デザイン学科)
 

倉敷という都市に縁の下の見える住宅を配置する。
効率的に人々に提供される木造住宅のほとんどは
在来工法であるのに対して、縁の下こそ住宅の中で
1番の力持ちであり、木造の中で一番重要なエレメント
と捉え「縁の下の見える家」を提案する。縁側空間を
浮遊させることは、観光地化された倉敷市において
住人にとって豊かな空間となり、街の人々は伝統構法の
奥ゆかしさに感銘を受けるだろう。人々に愛でられ、
木の頑張りを可視化されることで、木は喜びを感じられる
だろう。

1.岡山県:豊かな森林と産業
 岡山県は中国山地と瀬戸内海の異なる地形を含んでおり、
 特に中国山地側の北部には豊かな森林があり、県土の
 約68%を占めている。また全体の70%が人工林となっており、
 適正な間伐が行われることの必要性が課題となっている地域
 である。

2.岡山県倉敷市:歴史美観地区と市街地
 岡山県倉敷市は美観地区として有名な観光地であるが、その
 視野を少し広げてみると私たちが思い描く倉敷市ではない。
 今後倉敷市はスプロール化、またスポンジ化が進み空き地が
 増えていく背景がある。この背景をもとに、倉敷市で住宅を
 立てる意義として伝統構法による未来の市街地の景観を作り
 上げることを目的とする。

3.新たな伝統構法と都市との関係性
 森林をつくるという試みと伝統構法による景観の構築の2点を
 可能にする住宅を提案する。岡山県の森林にある様々な木を
 使用、構成する住宅でありながら、岡山県の独特な建築の構法
 の再解釈を試みることで木と人間の関係性をもう一度認知する。

4.縁の下を持ち上げる
 現代において効率的に人々に提供される木造住宅のほとんどは
 在来工法であり、仕上げ材によって全ての構造は隠されてしまう。
 構造が表に出てくる伝統構法でさえも、一番の力持ちである縁の
 下は隠されている。縁の下が見えるまで持ち上げ、木の頑張りを
 可視化することで、住民は住宅に寄り添い、木に喜びを与える住
 宅を提案する。
 縁側でプライベート空間を背にして外部空間を眺める、その行為は
 実に豊かさを感じる。この住宅は上層に家族のプライベート空間、
 下層に水回りを配置し、そうすることで縁側の空間体験を空中に
 浮遊させ、街を眺めるという空間を演出する。

5.コミュニティが広げる伝統工芸
 地上レベルはキッチンを中心に地域の人々を介入させ、コミュニ
 ティのきっかけを作る土間を設ける。この住宅には一番の力持ちで
 ある縁の下を眺めながらアプローチし、都市から住宅までの様々な
 スケールを立体的に構成している。
 この住宅は森林とのサイクルを創り出す顔も持つ。この住宅における
 木材は岡山県の森林にある間伐材を用いている。この建築を作ること
 で、森林を作り上げる。そんな長いスパンでの時間軸を視野に入れ、
 設計提案をしている。

6.伝統構法による構造
 建物に3面囲われた敷地において懸念すべき問題は、高温多湿の問題で
 ある。石場建てを選定することで空気環境を整え、木材の消耗速度を
 軽減し自身にも強い住宅を提案できる。また、県において森林をつくる
 ということは偏った間伐をすることは望ましくない。柱、梁などエレメ
 ントに対して様々な種類の間伐材を適宜特性を見極め使用する混種構造
 や架構の材を60角と105×30の伝統構法特有の水平垂直の特徴を生かした
 架構形式を採用する事で森林のサイクルを促すことを目的とする。

 

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