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優秀賞 Lined mixing

制作者
佐賀大学大学院
閔羅賢(工学系研究科都市工学専攻)
副田和哉(工学系研究科システム創成科学専攻)
広谷洸多(工学系研究科都市工学専攻)

これからの将来、人と人とのつながりはより不可欠なものになる。
様々な人との多様な関係性を支える空間が必要である。
我々の先祖達は、木を中心にあるいは木に囲まれて共同体を形成
してきた。いつの時代も木が人のつながりを支えてきたのである。
この案は空間を隔てる垂直面に流通材を用いた面格子を用いる。
より個別化された人間性を担保しつつ、その多様な人間関係を
デザイン(調整)することができる木的空間の提案である。

01.Background | 木材利用の現在
 2010年公共建築物等木材利用促進法の施行により、現在の日本
 には多くの木質空間が存在している。しかし、その木質空間の
 空間の質については玉石混合であり、空間における木材利用の
 問題は新たな段階を迎えていると感じる。
 これまでの木材利用の注視点は間伐材の利用を推進することで、
 良好な国産木材の生育環境を整えることにあった。これからの
 課題は、これまでの取り組みの中で育ってきた成木の活用方法
 にある。
 現在の日本では、構造材にも使えるような適齢期を迎えた木材が
 余っているのである。現在、滞っている木材の使用量を増やし、
 社会全体で炭素の流動性を高めることは「循環型炭素社会」の
 必然である。
 本提案では、地域に既に存在する木材を地産地消し、建築として
 地域へと根付かせていくことで、都市と森林の健全な関係を築き、
 木質空間の新たなフェーズを描きたい。

02. Concept | 東アジアの木的空間の再考
 現在、木質空間の多くは表層的に木を貼っただけの内装空間である。
 しかし本来の日本ひいては東アジアにおける空間とは、存在そのも
 のが木的なものであり、木そのものが根源的な文化の形成に大きく
 影響を与えてきた。本提案は、東アジアの伝統的な住環境を参照とし、
 木的な空間が持つ「中心性」と「囲まれ感」に注目する。これは東ア
 ジア的な多様な関係性を創り出す、これからの住まいの提案である。

03.Proposal | これからの住まい(空間共有型多世帯住宅)
 これから日本の人口は減る。今の生活スタイルでは立ち行かなくなる
 のは自明の事実である。これからの住まいに必要なものは、あらゆる
 人との多様な関係性である。これからは住まいの中でのみ存在してきた
 仕事(家事や育児)を、アウトソーシングしていくことも一般化するだろう。
 その中で問題になるのが、より複雑化する個人のプライバシーでありこの
 問題を考える上で参照性を持つのが東アジア的なウェットなつながりであ
 ると考える。私たちが考えるこれからの住まいとは、より個別化された人
 間を担保しつつ、その人間関係を手軽にデザイン(調整)できる空間共有型の
 木的空間の住まいである。

04.method | 関係をデザイン(調整)する面格子
 面格子とは多数の相欠きのめり込みによって、靭性の高い変形特性を持ち
 耐力壁として使用することもできる。本提案ではこの面格子をあらゆる垂
 直面に用いることで、各空間の関係性を多様に変化させる空間装置として
 位置付ける。面格子の透明度と可動性を変化させ耐力壁や建具として用い
 るのである。緩く閉じたり、控えめに開くような関係性をコントロールす
 ることで、その時々の状態に合わせた空間を設えることが可能になる。ま
 た面格子に用いる木材には流通材の利用が可能であり大量の木材を無理な
 く使用することができる。一般に流通している木材を面格子に使用するこ
 とで、もしある部分に損傷があった場合でも取替可能となり住宅全体の長
 寿命化が図れる。面格子を用いた建築を一般化させることは木材の使用量
 を確保や技術の継承にもつながる。
 木文化そのものを次の世代へと、つなげることで、木はよろこんでくれると
 信じている。

Date
建築面積:201.5㎡   延床面積:201.5㎡
基  礎:石場建て基礎
木  材  費:1,950万円  総  工  費:4,880万円
空間共有型多世帯住宅
夫婦A 60代 夫婦B 40代

 

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