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最優秀賞 隠家〜いんか〜

制作者
西日本工業大学
宮吉 早紀(デザイン学部建築学科)

コンセプト
本設計では、老夫婦が子供に住まいを譲り、ゆっくりと第2の人生を楽しむための
新しい住まいを提案する。これはかつて日本で行われてきた隠居という住まい方に
習い、母屋を子に譲り、親は次の住まいに移るということを前提としている。住ま
いが受け継がれ、使われ続けていくことで、社会問題になっている空き家の増加を
抑制することに繋げる。
本設計で想定する敷地は福岡県築上郡上毛町である。上毛町は福岡県の最東端に位
置する、総面積62.44k㎡、総人口約7,700人の町である。福岡県と大分県の境に位置
するため中津市を中心とする生活圏を共有し、通勤圏は行橋市、苅田町までに及ぶ。
平成27年には上毛P.A・スマートインターチェンジが設置されう、福岡市や北九州市
からのアクセス時間も大幅に短縮され、利便性を高めている。しかし一方で、定住者
の減少や、空き家の増加の問題を抱えている。
また、総面積の62%が森林、17%が耕地と田園と林野を主体に緑が多く残されている。
その中には棚田や山麓部の里山などが点在している。山間部を覗いては起伏は少なく
なだらかな田園が広がる。更に、山国川や佐井川、友枝川などが流れており水資源も
豊富である。
このように自然・田園・都市が共存する恵まれた環境を持つ上毛待ちに馴染み、長き
に渡って受け継がれていく住まいを提案する。

家族構成
・2人で暮らすのにちょうどいいゆったり楽しく第2の人生を過ごせる住まいが希望
 祖父(65歳)
 ・家庭菜園が趣味
 ・おばあさんとドライブに出かけることも好き
 ・みんなで使える作業スペースがあればいいな
 ・孫たちが泊まることのできる空間がほしいな
 ・車が1台駐車できるスペースがほしいな
 祖母(63歳)
 ・料理が得意
 ・ご近所にたくさんの友達がいる
 ・家庭菜園をおじいさんと一緒に楽しんでいる
 ・お嫁さんや友達と料理が楽しめるキッチンがほしいな
 ・ゆっくり友達とおしゃべりできる空間がほしいな
 ・雨の日でも洗濯物を干せる場所がほしいな

 母屋に住む息子家族
 父(34歳) 会社に勤めながら農業を手伝う
 母(33歳) 会社の事務員をしている
 娘(7歳)      近隣の小学校に通っている
 息子(5歳)   幼稚園に通っている 

母屋と隠家を受け継いでいくサイクル
現代の日本の集落では、子供は大きくなると実家を出て都市部に移り住むという傾向が
強い。そのため、大きな母屋に親夫婦2人が残り、後に住み手がいなくなる、これにより
空き家が発生してしまうという問題が起きている。
上毛待ちにも多くの空き家があり問題となっている。そこで本設計では母屋を親から子
へと受け継いでいきながら、それぞれが必要とする大きさの住まいながら、空き家の発
生も防ぐ隠居に習った新しい居住サイクルを提案する。
空間需要の最大期に家を立てることの問題点
母屋  夫婦2人で住むには広すぎる・・・。子供が近くに住んでくれると農業の手伝い
    をしてもらったり、助かることが増えるなぁ・・・。孫にも会いやすくなるなぁ・・・。
賃貸  子供も増えて賃貸住宅では手狭になってきた・・・。子供部屋があるような大きな
    一戸建てに住みたいけどお金がかかるなぁ・・・。両親の近くに住むと仕事で
    帰りが遅くなる時に子供たちを見てもらったり助かることが増えるなぁ・・・。
              ↓
空間需要の安定期に家を立てることの可能性
隠家  母屋に近い場所で好きなことをしながらゆっくりと第2の人生を楽しむ2人の家
⇅  支え合える距離感
母屋  子供たちものびのびと過ごせる祖父母から受け継いだ住まいと暮らしを守っていく
    家族の家
              ↓
ちょうどいい住まい ちょうどいい暮らし 受け継がれる住まい 受け継がれる暮らし

使用木材について
本設計では、上毛町の位置する京築地域のヒノキや、隣接する大分県日田市や中津市のスギ
やヒノキを主たる建材とし、特に間伐材の有効利用を提案する。
それにより地域住宅が地域の森林の整備と地元の林業の活性化に貢献することを期待する。

間伐材でつくる縁棚構造
構造は、伝統的な在来工法を基礎とし、間伐材の弱点をおぎないつつ有効に活用できる縁棚
構造という新しい木構造を提案する。
間伐された小径木から製材された60×60の角材
     ↓
60×60の角材を600×600間隔で配置し1つの柱のような構造体を造る。
     ↓
縁棚で家全体の形を造る。
     ↓
メリット
・柱のスパンが短くなる
・梁が短くて済む      →     建物が強くなる
・同スパン縁棚が配置される

縁棚を軸としたプラン構成の仕組み
縁棚レイヤー
縁棚レイヤーを外周から格子状に配置することで、さまざまな空間分割が可能となる。
内包する室の用途に応じて、縁棚をさまざまな設えにアレンジし、居心地を高めることができる。

縁棚を活かしたさまざまな設え
・居場所をつくる
・人をつなぐ
・モノをかざる
・仕事をささえる

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