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優秀賞 継手の家

制作者
日本大学大学院
福田 奎也(生産工学研究科建築工学専攻)

0.Concept -暮らしを繋ぎ、手を取り合う家-
暮らしを繋ぎ、手をとりあう木造の家を提案します。
材を継ぎ足す継手のように、人々の暮らしが次世代へ、そして地域へと継ぎ
足されていく家です。そこには継手が過去と現在を構造体として、また暮らし
の痕跡としての時空間を紡いでいきます。桁や母屋が拡張された継手は、この
家がただ更新していくためのものではなく、日々変化する人々の暮らしを豊か
にし、これからの地域の家づくりの手がかりとなります。そして継手の家が社
会に寄与していくことで、継手の技術を未来へと伝承し、森林が豊かになる家
となるのではないでしょうか。

1.Site-郊外化によって失われる風景-
埼玉県吉川市は、都心から一時間の位置にありながら、市の面積の3割が水田
で緑豊かな風景が広がります。しかし、近年、郊外化によって大型ショッピン
グモールや新興住宅街の乱立によって、豊かな風景がなくなるだけではなく、
街並みは均質化し、伝統的な木造の家も無くなっています。郊外化の典型的な
地から、森林が豊かになる家を考えます。

2.Proposal-継手の継承-
木造の伝統技術を継承することが、森林を豊かにする方法の一つであると考え
ます。近年、少子高齢化によって、お年寄りの孤独死などの問題が挙げられま
す。親世帯と、子世代が共に手をとりあっていける二世帯の家を提案します。
本計画では、伝統技術の継手に着目します。材と材を釘など使わずに接合させ、
栓をして固定します。継手が互いのものをつなぐように、人、家族、まちをつ
なぐ家の計画です。

3-1.Diagram-二世帯をつなぐ-
材と材を継ぎ足す継手の形は、二世帯の住まう形となります。二世帯のボリュ
ームを離し、採光と通風を確保します。継手の栓は二世帯をつなぐ廊下となり
ます。

3-2.Diagram-継手のような街づくり-
 郊外化で均質化した街の中に継手の家を計画します。継手は内部だけでなく、
外部に表出することで地域に寄与します。この継手の家に継手をしていくよう
な、新しい街づくりを提案します。この町は、均質化した街から、色々な形を
した継手のように、楽しい二世帯の木造住宅街になります。

4.Material-地域の素材-
埼玉県を原産とする西川材を用います。西川材は江戸の昔から、西から川をつ
たって江戸に運ばれていたことから西川材と呼ばれるようになった伝統のある
木材です。また、壁には土蔵で見られる白漆喰を用います。埼玉の各地には旧
街道の歴史があり、そこには今なお、土蔵が残っています。地産地消すること
で、県内の深林整備が進み、土砂災害を防止する公益的機能が高まります。ま
た地元の木を使うことで、循環型社会の構築に貢献でき、運搬にかかるエネル
ギーも減り、二酸化炭素の排出を抑制することが可能です。

5.-Cycle-豊かな森に向けて-
森林が豊かになるサイクルを考えます。郊外化によって木造住宅がなくなった街
に、伝統技術を用いた住宅を計画します。計画された継手の家は、内部で完結せ
ずに、外部にも表出します。表出した継手は、新しい街づくりの手がかりとなり
ます。材木は地域に根付いた木材を用います。地域の森林は、地域の家に使われ、
木が育ち、使われることで森林が豊かになるサイクルをつくりだします。

6.Plan-平面/断面/立面-
家族構成 祖父、祖母、父、母、子
敷地面積 297.8㎡
建築面積 106.8㎡
延床面積 142.0㎡
建蔽率  35.9%(許容60%)
容積率  47.7%(許容100%)

7.Scene-これからの住み継ぎ-
親世帯から子世帯へと、外部に表出した継手を手がかりとして、増改築をおこない、
暮らしていきます。超高齢化社会のなか、地域の人たちと手をとりあいながら暮らし、
継手の家は次の世代、また次の世代へと暮らしを継いでいきます。

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