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トステム賞 谷と住む 新潟・十日町の豊かな暮らし

制作者
工学院大学大学院
藤波 凌(工学研究科建築学専攻)

日常に寄り添う「住まいの茅葺谷」。
茅葺屋根から生まれた空っぽの谷は夏に家族の賑わいが溢れる。
そして、その谷は冬にはたくさんの雪を蓄え雪と人を近づける。
次第に雪は巨大な塊となり冬に室内に夏を蓄える。
季節のうつろいを取り込み、日々の生活を豊かにする茅葺谷は
時代を超えて人々の毎日の暮らしを豊かにする。

⒈新潟県十日町市
 新潟県十日町市は日本有数の豪雪地帯であり、特別豪雪地帯に指定されています。
 近年には越後有妻芸術祭の参加によって新潟を訪れる来訪客は増えていますが、
 一方で若い定住者の人口は減少しています。
 十日町市にある雪と敷地を生かしたかつての地域の伝統的住まいの活用によって、
 地域活性のきっかけとします。

⒉十日町の「茅葺屋根」の古民家、農家
 新潟県十日町市には古くから茅葺屋根の民家、農家が集落を形成し、「中立山」の
 民家集落、高柳町の「萩ノ島」環状集落が現存し、古くからの伝統的な暮らしを
 現代に残しています。急勾配の茅葺屋根によって、新潟の豪雪による建物の崩壊、
 落雪被害等の自然災害、二次災害から人々を守ってきました。
 また茅葺は1年に1度、葺き替える必要があるため、葺き替え行事が地域、家族の
 コミュニティーのきっかけとなっていました。現代のコミュニティーの不足した
 住まい方に「地域」「家族」のつながりをつくりだすきっかけのひとつとします。
 そんな雪と密着した伝統建築である「茅葺屋根」を生かした現代の住まいを提案
 します。

⒊雪という新資源
 雪には大きく3つの資源としての活用があります。
 1つは天然の断熱としての資源として、冬の時期の消費エネルギの削減に貢献します。
 2つ目に貯蔵機能として様々なものを貯蔵し保管し、時に物の質を向上に貢献します。
 3つ目に電力発電です。雪の冷気で温度差を作り出し、電力を生産することが可能です。

⒋茅葺屋根の急勾配=谷
 谷型の屋根形状によって周囲への落雪の危険や雪下ろしのリスクを回避するとともに、
 谷に集まった雪を空間の資源として利用することができます。

⒌谷=住まいのヴォイド
 谷のヴォイドは日常の賑わいの余白であり非日常での雪の避難場所です。

⒍季節の住み替え
 季節によって住む階をかえて、エネルギー、プライバシーを上手に作ります。

⒎地域の木材「越後杉」
 新潟県で推奨している「越後杉」を積極的に使用します。
 越後杉は捨てるところがない木材と呼ばれ、根元から先まで利用されます。
 また間伐材も家具、ベンチ、炭、クラフトの材料など様々な分野で活用されています。
 また、越後杉は雪国という厳しい環境で育つため年輪が詰み、強くたくましい木に育ち
 ます。越後杉は、「粘り強さとしなやかさ」があります。そして越後杉の個性とも言え
 流「根曲り」を利用します。山の斜面に植えた杉は、根元が重い雪に引っ張られ湾曲し
 ます。越後杉の「根曲り」は、重い雪の負荷に耐えて成長したしるしといえます。木の
 中でも特に丈夫な部位であることから、今回の建築の長いスパンの渡り廊下の梁材に
 使用します。

⒏家族構成
 若い子連れ家族
 父:35歳 農地の生活に魅力を感じ、土地を生かしたアートを製作するアーティスト
 母:30歳 地元出身で農業経験のある主婦
 兄:8歳  好奇心旺盛のわんぱくっ子
 妹:5歳  お兄ちゃんが大好きで少し引っ込み思案な女の子
 愛犬:2歳 雪が大好きな柴犬

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