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林野庁長官賞 思いあえる家 一軒の家から街づくりへ

制作者
佐賀県立産業技術学院
小林尚加

◆地域 佐賀県多久市
 多久市は、佐賀県の中央にあり、緑の山に囲まれた盆地で自然あふれる街。学問では、多久聖廟が有名で
 孔子像が祀られている。この家周辺には、多久駅、お店等が建ち並び、夏には伝統の祭りである多久山笠
 が行われる。特産品は、ビワ、女山大根、桐両なす。

◆家族構成
 ・夫:40歳 職業・・・板前(自宅で和食屋を経営)
 ・妻:36歳 職業・・・和食屋のお手伝い
 ・長女:10歳 小学5年生
 ・次女:  6歳 小学1年生

◆金額
 ・住宅全体:3000万円
 ・使用木材:  600万円

◆基本情報
 ・敷地面積:296.99㎡
 ・建築面積:119.69㎡
 ・建蔽率:40.30%
 ・容積率:69.57%
 ・延床面積:206.61㎡ (1階床面積:103.78㎡ 2階床面積:102.83㎡)

◆コンセプト
 多久市は昔、炭鉱で栄え、商店街も賑わっていた。しかし、時代は進み商店街は姿を消し、街全体の活気は
 なくなった。昔の面影もなくなり、人との繋がりも薄れていった。お年寄りの方の一人暮らしは増え、交流
 の場が必要となってきている。そこで、着目したのが『家の魅力』!家は家族の絆を深め笑顔にしてくれる、
 過去と未来を思い出で繋ぐ場所。そんな家の魅力を『家族という内だけはなく、地域という外』に向け、この
 家に関わる方々や街全体が元気になれる。そして、人が集まる場所が木をふんだんに使用した伝統工法とする
 事で、沢山の人に佐賀・森・建築の魅力をPRでき、次世代へと残せるのではないかと考えた。
 近年、街づくり計画として大きなコミュニティー施設が増え、スーパーやマンション等が次々と建てられる中、
 果たしてそれが本当に街づくりに繋がるのか?
 ご先祖様が育て残してくれた森、昔から受け継がれてきた伝統や技術を駆使して建てられた『一軒の思いあえ
 る家』から街全体の活性化へというコンセプトで設計した。

◆間取り
 ①来店された全てのお客と顔を合わせれるように、カウンターと出入口を対面式に。
 ②開口部と外壁が重なることで外の目線をずらし植栽を楽しみながら食事ができる。
 ③キッズスペースを設け、子供も大人も楽しい時間を過ごせる。
 ④作業中でも帰宅した子供と窓やガラス戸から顔を合わすことができる。
 ⑤料理中でも部屋全体を見渡せ、動線がキッチンの回りにあるため、会話も弾む。
 ⑥LDKを広めにとり、親子一緒に触れ合える空間を作った。
 ⑦子供部屋は将来間仕切りで個別にできる。営業中は子供だけで過ごすため、厨房には
  声が届き易い様に厨房を階段側に配置し、子供の睡眠を妨げない様に、客室スペースとは
  離して配置した。

◆環境への思いやり〜再資源化〜
 山にはたくさんの樹木があるが、これらは植林〜使用のサイクルにより成り立つ。水・二酸化炭素・土の養分を
 吸収し成長していくため、石油等の化石燃料とは違い、エネルギー化の際に新たに二酸化炭素を放出しない自然
 に優しいエネルギー燃料である。また、植樹された若い樹木の方が、古い樹木よりも多くの二酸化炭素を吸収す
 る。樹木は無限の自然エネルギーであり、最後は土へと還り循環する。

◆自然素材使用
 ○県産材を使用
 ○地産地消!
  多久市の一部地域では、林業の祖父が孫へと植樹する風習が今でも残っている。木は育った山々で異なる特性を
  持ち、伐った後でも育った土地の気候等に順応する。その山独自の特性が分かる木材と、職人の方の巧みな技術
  で、木の特性を活かした伝統工法とすることができる。その建物は、祖父の思いと共に孫へと引き継がれていく。

◆構造材・壁
 ○杉 120×120 柱・梁等の横架材
 ○檜 120×120 土台
 ○外壁 焼き杉 
 ○内壁 炭入漆喰
 *焼き杉・・耐火性・耐久性にを持つため、外壁として使用。間伐材を使用し取り替え後は新たに街で再利用される。
 *赤瓦・・・唐津市の山田地区で見られる瓦。緑が多い、多久市の山を背景に映え、人の目を引きつける効果を発揮
       する。
 *自然素材を使用のため、取り替えられた古材は再利用され、街でも使用される。
 

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