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優秀賞 地上へのまなざしの家

制作者
愛知工業大学
内柴康貴

「地上へのまなざしの家」は長崎県外海町に伝統的に使われていた石積み構法と木造軸組工法を組み合わせた計画である。
建物は二つの工法で作成される。それは石積み工法と木造軸組工法である。家の構造体を基礎から壁、床から屋根の部分で工法を分ける。床から屋根の工法は木造軸組工法で形成する。戦後から木造軸組工法は社会のあらゆる問題により、需要が激減していった。
しかし、その一方で増えていったのが在来工法である。二つの工法は柔構造と剛構造として分けられている。構造体の特徴として壁量に頼らず、構造架構そのものを使い、木材であるため加工がしやすい。また、柔構造であるため石積み工法との組み合わせをすることで空間を安定させる。
二つの工法が組み合わさっていることで地上のエネルギーを効率よく使うことで環境をコントロールする。
自然の特性を読み解き、工法で建物として構築していくことは次の世代へとつながっていくものである。
■敷地
長崎市外海の石積集落景観は、西彼杵半島中部の出津川流域で営まれる。近世から続く畑作を中心とした集落景観であり、結晶片岩を主とする独特の地質によって形成された石積みを特徴とする。外海では、傾斜地を開墾した際に出土した結晶片岩を用いて土留めの石垣、防波、暴風の石築地、居住地の石塀、住居、蔵の石壁等多様の石積み構造が築かれてきた。結晶片岩の石に赤土及び藁すさを練り込んで築いた伝統的な石壁である「ネリベイ」のほか、明治期にはパリ外国宣教会のマルク・マリード・ロ神父によって、藁すさに代わり赤土に石灰を混ぜる綾積みの「ド・ロ壁」が導入され、現在もこうした石積み構造物が多く築かれている。
■構成
1.従来の住宅は、建物が高くなるたびに上の階の空間は地上との距離が離れ、敷地にあたる日光の量も少なくなる。敷地において建物の関係を見直さなければならない。
2.傾斜地において平な敷地は貴重であり、建物を建てることで平らな空間がなくなるので建物の上に平らな空間を設ける。それは家族の第二のリビングができる。
3.地上から–700m下げることで地上と二階との距離が縮まる。セカンドリビングの空間はより地上に近づいた空間となる。
4.一階は地下空間。二階は室内から外へ繋がるセカンドリビングのある家ができる。二つの空間は地上との関係を意識した家が出来上がる。
5.基礎の部分には韓国のオンドル式の床暖房を取り入れる。ひとつの住宅のエネルギーを集落全体へと繋げることで効率よく使うことができる。また、基礎の材料に使う温石の特性によって熱を蓄熱し、加工がしやすいのであらゆる形式に対応できる。
平面構成の計画
団塊世代を親に持つ35歳層の直面した多様な社会背景とそれらから生まれる新たな住まい
Back Ground 住まいの50年史
様々な要因が絡み合い戦後から大きく変化した現代社会。その中で人々の住まいは形を変えず作られ続けている。今の住宅は塀で周りを囲うなど家庭内で完結するような近隣との交流か生まれにくいものであり、また、家庭内も昨今の社会状況により家族のつながりが薄れてゆき、住宅街はどの場所も変わりない風景をつくるようになった。
社会が大きく変化した様々な要因を手がかりにこれからの住まいを再構築する。
Target 生活を重視した層のマイホーム
住宅購入の対象人物として35歳から40歳の年齢層を想定。核家族化以降の年代であるため、幼い頃から自室を持ち「個人の空間」がライフスタイルに定着している。一方家族に憧れを持つ世代でもある。
そして彼らの中にはバブルによりモノに不自由を抱かなかったために良いデザインを好み生活に拘りを持った層がある。建て売りのような一般的住宅は彼らの生活には不適であり建築家の造る特別な住まいにも経済的に手が届かない。そのような層をターゲットとする。
Problem&Solution 変化する価値観
多様な社会問題は次のように分類ができる。
地域の関係性・・・近隣との交流が希薄化したり地域に対し無関心となる。
人間関係の崩壊・・・人々が交流を持つことなく自分の世界に身を閉ざす。
家族問題・・・家庭内の関係に歪みが生じ家族間で亀裂が生じる。
価値観の多様化・・・様々な価値観から人間関係が複雑となった。
女性の社会進出・・・男女平等により家庭が戦後と比べ大きく変化した。
モノへの価値観・・・人々の価値観がモノからコトへと移り変わる。
それらの解決方法として、「個人空間」「団欒空間」「コミュニティ」「教育のあり方」以上4つの項目の再構築により新たな住まいを提案する。
□家族構成 4人家族(夫婦<35歳から40歳>、子ども二人)

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