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優秀賞 光ふりそそぐ花のもとで

制作者

三重大学大学院

冬野達也

■コンセプト
本来、日本建築は内外の視覚が曖昧であり、内から外へと段階的に変化していく。
内と外とが縁側・土庇等の空間や、障子・簾等で緩やかにつながっている構成は、日本建築の特徴の一つとして挙げられる。
しかし現在の日本建築は外観で閉ざされ、各個室も壁によって区切られ、この特徴は失われつつあるのが現状である。
そこで、家族を包み込みながらも積極的に地域へ開くような住宅を提案する。
?収束と発散?
家族同士がつながる空間構成(収束)と家族が地域へ開く空間構成(発散)の対立した二つの空間を同時に存在させる。外部へ開き、内部へ閉じるような平面や断面構成とするため斜めの線によって生まれる空間を生み出す。
?二つ存在する部屋の行動性格?
玄関、事務所、LDK、便所、浴室、寝室での行動の性格を二つに分けると、収束と発散の構成が生まれる。
玄関:行き(発散)、帰り(収束)
事務所:プレゼンの場(発散)、作業場(収束)
LDK:リビングダイニング(発散)、キッチン(収束)
便所:洗面所(発散)、便所(収束)
浴室:中庭(発散)、風呂(収束)
寝室:階段を下りる(発散)、階段を上る(収束)

■設定した家族構成
父(50代)、母(40代)、息子(大学院生)、娘(大学生)の4人家族を想定する。
1、父は事務所を開いており、より地域に開かれた仕事場を希望している。
2、息子は他県の大学院に通っているため正月等の祝日に帰省する。

■設定した敷地条件
佐賀県の住宅地の一画の角地を想定する。
東側・北側は幅8mの道路(歩道含む)、南側・西側と北側を隣家とする。
■配置計画
敷地に対して建物を斜めに配置することで、隣家と正対することがないだけではなく、庭の形が多様と成奥行き感が生まれ、地域へ開く建築形態を可能とする。
中心へ収束し、周囲へ発散する屋根形態は家族生活に奥行き・広がりを持たせるのみでない。
中心へ収束する環境は、光・水が挙げられ、発散する環境は熱が挙げられる。
・光:屋根端部に設けたハイサイドライトから射し込む光は、天井面を滑らかに伝わりながら中心の庭を照らし家族生活にまとまりを与える。
水:本来、水を建物の外部に落とすように設けられた屋根勾配(切妻屋根など)とは反対の構成になっており水を取り込む。この水を倉庫のタンクに溜められ生活用水として用いられる。
熱:現在、私は大学院のインターンシップにおいて民家の実測調査を行う設計事務所へ行っている。調査の中で、小屋組みの断面をとるために屋根裏へ上半身を入れて作業をしていたが、屋根裏には熱がこもり非常に無駄な空間となっていることを体感した。
外部へ広がる屋根形態は、ハイサイドライトから射し込む光とは反対に、熱い空気を天井面を伝って上昇させ自然と開口部から排出する。
このように自然の光や風などをうまく住宅内に取り入れることで、機械に頼らない省エネルギーな生活であり、より風土を感じられる生活が生まれる。

断面構成
・土台、床
地域へ積極的に開いた構成をしているため、玄関から奥の空間に向かうにつれてプライバシーの高い空間を配置し、それに伴い床高に変化を持たせる。
・屋根
中心から広がっていく平面の円状構成に合わせて、屋根面も勾配を変えながら分割することで空間に奥行きや広がりを与える。この奥行きや広がりは家族の生活のみでなく、庭を超え地域も包み込む。
このように広がるばかりでなく中心となる庭を持っていることから求心性も生まれる。希薄な人間関係となってしまっている現代の家族にとって昔の民家のような大黒柱のような存在となる。さらに円状に屋根面は円状につながっているため、各個室にいて離れていても一体感が感じられる。
また、地域へ開いた庭のみでなく中心にプライベート空間を配置し、そこからは屋根により空の景色が切り取られる。
■平面構成
中心から波紋のように円状に広がる平面構成とする。中心から端部へ伸びる壁のより台形の平面となり収束・発散の状態を生み出す。
これに、二つ存在する部屋の行動の性格を合わせることで空間に奥行きが生まれる。

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