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瓦屋根優秀賞 トステム賞 4畳半で紡ぐ家

制作者

熊本県立大学

井上 綾乃

?架構が住宅の豊かさへ、住宅の豊かさが生活の豊かさへ、糸のようにつながっていく住まい?
生活の豊かさを、最近では建物を新しく建て直すことによって感じることが多くなりました。新しい暮らしを求め住宅を建て直し、豊かさを得るということが当たり前にになっている中、これからは代々受け継がれる住まいを残していくことで、建物の「温故知新」が生まれ、住まいを通して家族の絆も深まります。建てて、いずれ古くなりどうすることもできずに壊してしまうのではなく、部分的に修理しながら暮らしを続けられる家、続けたくなる家を考えなければなりません。壊れ古くなっても人の手で修復し続けることができる伝統構法で、様々なライフスタイルに対応する住まいを目指しました。

そこで、4畳半という、狭いけれど人の手が行き届く、程よい空間をつないだ住まいを提案します。
内部の空間に構造壁作らない工夫が4本の大黒柱、外の外周の柱、それを繋ぐ梁、足固めにより、内部の構造壁をなくすことで、間仕切りを可動壁にしています。子供が幼い時代や子供たちが成長しプライバシーを大切にする時代、夫婦二人の時代、高齢の親と子供夫婦が共に暮らす時代・・・様々な時代に合わせて住宅が表情を変えます。
変化に順応することで家にゆとりが生まれます。
そのような空間を仕切りで変化させられる可変部分とともに、お風呂場のように場所を限定された不変部分も存在します。それらは、古くなり老朽化が進んだ後に、その部分だけを再生させるという古民家の知恵をいかし、部分的に改修することで全部を壊さずに取り替えることができます。
この住宅では風呂場を下屋に配置しています。

家の特徴
○土間空間
三和土を使用した、キッチンと直接つながる土間空間を使用しました。土は、調温湿作用があり、夏の湿気でムシムシした暑い日にどこかひんやりとさせたり、冬の乾燥する日には、湿気を吐き出し、体感温度を上げてくれます。地球環境に負担をかけずに、風土に合ったかたちで、温熱管理ができることは、真のエコといえます。また入り口と南庭からリンクする土間空間は、家庭菜園の時の休憩場や、雨の日の子供の遊び場として、またある時は外とつながる食事の場として、内と外は矛盾なく寄り添える空間となります。

○二階
現在は土間空間の上を吹き抜けとしていますが、将来二世帯で住むこととなったり、客室として広げることができます。また2階は1階より東西方向を半間ずつ広くしベランダを設けています。戸を外すと空間が開放的になり、心地よい風に当たりながら、近所の人の声を聞きながら読書をしたり、昼寝をしたり・・・日本の風土の良さを感じられるようになっています。構造体の渡りあごを伸ばすことによってできたベランダが、一階部分の壁が雨などで汚れたり傷んだりするのを防ぐ効果にも期待しました。

○越し屋根
空気の流れを良くし、新鮮な空気を上まで通すために越し屋根を設けました。それぞれの部屋に空気の滞りがないのはハウスダストの防止にもつながります。

○庭
敷地の中で建物の方向を少し斜めに配置することで、新しい視線が生まれます。この視線の先に大きなイチョウ、紅葉の木が鮮やかに玄関と道路側を明るくします。またこの家には、多くの野菜や果物が栽培され、日本特有の四季を感じることができます。家族が揃う時間がどんどん限られる中で、一緒に作業をし会話を楽しむことができます。これらの植栽が家族をつなげ、地域の人とのつながりのきっかけとなります。

家族構成(現在)
4人家族
夫:会社員で朝7時半に子供たちと一緒に出勤し、夜8時頃帰宅する。
妻:日中パートをしている。夕方5時に帰宅し、毎日夕飯を作る。
子供:中学2年生の娘:部活動を毎日頑張り、夕方7時に帰る。
小学3年生の息子:毎日夕方4時に帰宅し友達と遊ぶのが日課。門限は6時と決まっている。
多くの家庭が子供の成長とともに、家族のそれぞれがバラバラな生活をする時間が増えます。家族団欒の時間をできるだけ作り出せるように土間と居間の段差を利用してキッチンテーブルを置きました。
お母さんが食事の支度をする間、小学校での出来事を話したり、料理の手伝いをしたり、宿題を済ませられるような対話の絶えないキッチンとつながりのある居間空間を作りました。

家族それぞれが自分の時間を持ち忙しくなっていく中で、連続した空間や家庭菜園の場で休日や朝夕の団欒の時間を最大限大切にできるような暮らしのある家庭を想定します。

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