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優秀賞 景の家

制作者

札幌市立高等専門学校
鈴木 宏彬

Concept

現代の住宅では「景」に対して疎かになっている。昔の日本では「坪庭」や「隙庭」、「石庭」
といった「景」を楽しむ空間が多くつくられていた。四季折々の「景」を日々目にすることによって
日本人の感性が鍛えられてきたと私は考えている。本計画では「坪庭」、「隙庭」を設置することで
日々季節を感じられる住宅とした。

設定
家族構成は夫婦と子供一人を設定し、夫は会社員で妻は専業主婦共に30代、
子供は3歳程度と設定した。
敷地は南側が道路に面し、東西を住宅に囲まれ、北側に林がある敷地を設定した。

PR Point
平面構成
南側に道路があるため、プライバシーの面から南側には居間を配置せず、北側に居間を配置した。
建物の中心に「坪庭」を配置することで光を北側に配置した居間にまで取り込む。また「坪庭」は
安全な子供の遊び場となる。子供部屋は居間を介すようにし、家族とのコミュニケーションを
とりやすくした。食堂は畳敷きとし、子供が小さい頃は畳の上に布団を敷き食堂を寝室とする。
子供が独立したときには主寝室を長年蓄積された「もの」を保管する倉庫として利用し、
子供部屋を主寝室として利用することで、動線を短くする。窓は開放できるように引き戸とし、
障子を設けることで、夏には日射を遮光し、柔らかな光を室内に取り込む。

断面構成
食堂を「座の生活」とし、視線を下げ、「雪見窓」、「隙庭」を設けることで目線を下げ、
他からの視線を遮る。また、台所を一段下げることで、食堂に座ったときの視線の高さと
同じにし、コミュニケーションをとれるようにした。部屋と部屋との境はできる限り
開放できるようにし、梁上は開放し欄間とすることで人の気配を感じることができるようにした。
洗面所や便所、風呂、台所は一段レベルを下げ客の動線と別にした。

設備計画
佐賀県は年平均気温が17.3℃と一年を通して温暖な気候である。しかし、暖房機を使用する
住宅も多く、エアコン普及率は90%を超える。本計画では太陽光を効率よく制御することで、
冷房や暖房の使用量を抑えるよう設計した。
夏の日射は庇により遮光し、また「坪庭」の樹木により日射をさらに遮光する。「坪庭」への
撒水により、潜熱を利用し冷却効果を促進させる。屋根面からの受熱は緑化屋根とすることで
受熱を抑え、夏の日射を制御する。
冬は室内に日射を取り込むことにより室内を暖房する。また、積雪地区と同等の断熱材を
使用し、建物全体を断熱材で覆う外断熱工法とすることで熱損失を抑え、また建物全体の地下に
電熱パネルを埋設し、夜間電力を利用し土に蓄熱させることで、昼間の消費電力を抑え、室内
全体を均一な熱環境とする。

素材設計
日本における木造住宅の耐用年数は約30年と木造住宅の多い北欧のものと比べると約1/2である。
海外の木材が使用されることが多く、日本の木材が使われることはほとんどない。木材は最低限の
厚さの木材が使われ、建て替えと同時にほとんどが破棄される。本計画では、太く厚い木材を使用
することで再利用を可能にし、子供の代でも利用または軸組を再構築できるようにした。
本計画では全ての軸組を佐賀県の「さがの木」利用を考えた。外壁や内壁の仕上げに地物の木材を
使用し、柱や間柱、梁をそのまま見せ、日本の継ぎ手の技術を表面に出し、日本の木造建築の技術
を見ることができるようにした。全ての住宅が地物を使うことでその土地ごとに統一感がある街並
が形成されると私は考える。
 
 




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