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入選 離散結束住宅

制作者

日本大学大学院
高橋 恵多
櫻田 和也

Concept・PR Point

日本の伝統的かつ典型的な住居計画としての特徴は、田の字型平面で障子により仕切られ、
時には、大広間に、時には個室のような小割の部屋に変化し、非常にフレキシブルに必要に応じて
変化することが出来る。
各部屋を利用する際には家族間での「暗黙の了解」関係が生じ、家族間の了承を得て開閉し、
その時々に合わせて部屋の大きさは変化する。
食事の時や団欒の時には広げられ互いに利用することも可能だし、個々での利用も可能だ。
その変化を作り出し生活を送る行為が家族の関係を作る一つの契機であったと言える。
しかしフレキシブル性に富んだ自由度の高い平面計画は、仕切りが可変性を持つ故にプライバシーの
低さ等の問題を含んでいる。或いは日本における生活が西洋化していく社会的な変化から、
住まう住居にも変化を必要とした。人々の憧れはテーブルで椅子に座り食事し、ベッドで寝て、
人それぞれが個室を要求する。
また布団からベッド、ちゃぶ台からテーブルへという家具の変化は、可変性のある部屋に
対応しておらず、可変性を許容しなくなり、各部屋は特定の目的を持った部屋となる結果、
個室化する。また戦後の核家族の増加により、その家族の少人員化が個室化を可能とし現在の
nLDKが誕生するに至った。
一方で、その個人の自由度を確立した個室化は、かつてあった家族間の繋がりを
消失したと言える。
家族と生活を送る居住空間において家族が互いの存在を感じながらも自分の居場所を持つ住居は
生活をより豊かにするのではないか。
そんな住居を獲得するために、ワンルーム空間に、最小限の個室を配置し、個室と個室を離散
させることで、そのワンルームに変化を与える。
個室と個室の間には小さなたまりが生まれ、そのたまりが、家族それぞれの居場所を作り出す。
そのたまりは、引き戸で時には仕切り個室に利用することも出来るが、普段は開き、ワンルームの
空間の一部になり、そこでは家族の存在を自然と感じ、図らずとも家族間の関係が生じるだろう。
いわば日本の伝統的な平面計画と、近代の個室分化された平面計画との中間にある平面設計
と言える。それが私たちの提案する住居である。

日本家屋の伝統的かつ典型的な田の字型のプランは、襖や障子により非常に多用途な活用が
できた。
現代の住宅は用途で個室化され、家族の関係が消失している。
ワンルーム空間に、最小限の個室を配し、個室と個室を離散させることで、ワンルームに
変化を与える。個室と個室の間には小さなたまりが生まれ、そのたまりが、家族それぞれの
居場所を作り出す。たまりは、ワンルームの空間の一部となり、家族の存在を自然と感じる
空間が生じ、現代における日本家屋のオルタナティブとしての住居を形成する。

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